自分が一生懸命話をしているのに相手に話が伝わっていないことってありませんか。
話が伝わらないのは実はごく当たり前のことです。100人いたら100人が、違う考え方、基準、度合いの違うものさしを自分の中で持っていて理解し、判断し、発信しているからです。
【情報の受け取り~発信までの流れ】
人から聞いた情報を人に話す時はこのようになっています
- 情報Aを聞く
- 情報Aが脳で加工される
- 情報A‘を話す
受け取った情報「A」は脳内で加工されるため、次の人に話すときは加工された情報「A‘」として話すことになります。
上記の流れを理解した上で、もう少し詳しく見てみましょう。
- 情報Aを聞く
- 情報A‘として受け取る
- 情報A’が脳で加工される
- 情報A’’と理解する
- これを情報A’’’として相手に話す
①話した情報Aは情報Aとしては相手には届きません。なぜならその時に聞き逃す情報もあるので100%伝わらないのです。
②そのため相手は情報A‘として受け取ります。
③受け取った情報A‘は脳で加工されます。
④加工されたことによって、情報A’を情報A’’に変わり、A’’として理解します。
③自分が思ったことをうまく話せないですよね。そう、情報A‘’を話そうとしても100%の内容を話すことはできません。そのため実際には情報A’’’となって発信されます。
情報Aが情報A‘’‘として発信されたら、情報A’‘’はもはや情報Bとなっていますよね。
ここで情報伝達について、二つの例を見てみましょう。
伝言ゲーム
子供の時に一度はしたことのある遊びじゃないでしょうか?10人並んで順番にお題を次の人に伝えていったとき、最初の人の文章と最後の人の文章は全く違った答えになってしまいます。そして、必ずと言っていいほど、周りの人は伝言内容が変わっていくのを見ると、笑っていますよね。これがおなじみの伝言ゲームの光景です。
今思えば、この伝言ゲームの光景は子供だから理解力、話す力が不足して起こっているのだと多くの大人は思っていますが、残念ながら大人でも伝言ゲームをすれば、全く同じことがおこります(子供たちよりも精度は上がりますが)。笑っている人たちの大半が自分はこれくらいのことは簡単に伝えられるという過信しており、日常でミスコミュニケーションを生み出しています。
うわさ話
何歳になっても人はうわさ話が大好きですよね。○○さんから聞いたんだけどねと言っていろんな人が毎日うわさ話をしています。さて、うわさ話と聞くと、あなたは信用できる情報だと思いますか?信用できない情報だと思いますか?
信用できないと思った方はなぜ信用できないと思いますか?
うわさ話をした人が正確に情報を入手して、正確に情報を伝達して、次の人も正確に情報を受け取って、正確に情報を伝達すれば、信用できる情報になるはずですよね。
人は経験的に「どこから出てきた情報かわからない」「正確に広がった情報ではない」ということを知っているため、うわさ話を信じない人が意外にも多いのです。
これで大人が伝言ゲームをしても結果は同じということが分かりますね。
情報の受け取り~発信までの流れ【まとめ】
さらに伝言ゲームとうわさ話の内容を理解した上で、もう一度、情報伝達について考えてみましょう。
情報Aを聞く⇒情報A‘として受け取る⇒情報A’が脳で加工される「自分の都合のいいように」⇒情報A’’と理解する⇒これを情報A’’’として相手に話す。
人はみな受け取った情報を自分の都合のいいように受け取り、理解し、発信します。これが情報伝達をする上で一番厄介なことなのです。しかも情報の受け取り、理解、発信までのステップは全て自分の脳内で無意識の内に行われています。
さて、ここまできたら、相手が自分の話を理解してくれない理由がなんとなくわかってきたのではないでしょうか。
【話がうまく伝わらない理由】
自分の話し方に問題がある
話すスピードが速い
もともと話すスピードが速い人もいますが、緊張して早口になってしまう人もいます。
話したいことを話すこと、できるだけ早く伝えることが目的ではありません。相手に伝えたい内容を分かってもらうことが目的です。落ち着いて話すことを意識してみましょう。
話の主語がない
「主語がないからわからない!」職場ではよく聞く言葉です。自分がこれから話す話は自分にしか内容はわかりません。正確に話の内容を伝える時には英語の5W1Hを意識してください。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
話題がコロコロ変わる
話したいことが多い時、最後まで話す前、結論を出す前に次の話題を話してしまうことってありますよね。話題が変わって話が理解できるのは自分だけです(時々話し手もわかっていない時もありますが・・・)。一つずつの話題を終わったことを確認してから次の話題に移りましょう。
繰り返しになりますが、話したいこと話すことが目的ではありません。相手に話を伝えることが目的です。
自分に原因がある場合相手の理解力が高くても話は伝わりませんね。そのような場合は自分の話し方を見直しましょう。話をする前にはまず、事前に話す内容を整理したり、紙に書いたりなどして事前に準備をしましょう。
紙に話す要点を書くことは自分の頭の中を整理することもできるので非常におススメですよ。
相手の状況を理解できていない
集中していない
話したい相手がスマホでメッセージを入力していたり、書類をチェックしていたりと、他のことに集中して取り組んでいるときに話をされても、話している内容が入ってこないですよね。まずは相手に話を聞いてもらう態勢になってからはなしましょう。伝えたい内容が重要であれば、予め相手に時間を取って、話す場を設けて話すことも方法の一つです。
敵対視している、関係性が悪い
相手との関係が悪い時も話が上手く伝わりません。
喧嘩した直後で嫌いな人の話は聞きたくないですよね。この場合は話始めから怒りの感情がでて敵対視してしまうので、まともに話が伝わりません。信頼できない人の話も聞いたとしてもそもそもその話を信じないですよね。この場合も話を受け入れてくれません。あなたも好きな先生の授業は聞くけど、嫌いな先生の授業は聞かないってことがあったのではないでしょうか。
話を伝える上で相手との関係性は大事な条件の一つです。
感情が出すぎている
喜怒哀楽どの感情でも強く出ているときは人の話は入ってきません。想像してみてください。自分がとても楽しんでいる時、とても怒っている時に話しかけられても話の内容は頭の中に入ってこないですよね。そもそも話しかけられること自体が嫌ですよね。ポジティブな感情であれ、ネガティブな感情であれ、感情が大きく出ている時は人の話は入ってきません。そんな時は時間をおいてから話しましょう。時間が経てば、ポジティブな感情もネガティブな感情も落ち着いてきます。
受け入れる準備ができていない
仕事でトラブルが起きてパニック状態になっていたり、仕事を抱えすぎて、頭も心もいっぱいいっぱいになっていたり、身内の不幸があってものすごく落ち込んでいたり、このように理由は何であれ追い込まれている状態の時は人の話を受け入いれる準備ができていません。このような時は自分が伝えたい話をするのではなく、相談に乗ってあげることも大切です。
自分に都合のいいように理解する
話題が違う
自分と相手は全く異なった考えを持った人間です。話始めの時点で、何の話をするかの前提を合わせておかないとどれだけ話しても伝わりません。話している内容を受け取る内容が全く別物になるからです。
まず話題を合わせましょう。
例:3日前のA社の機械トラブルの件を相手と話したい時
相手の頭の中は自分の頭の中ではないので、正確な情報(相手にもわかる情報)を伝えないとわかりません。これは多くの人が日ごろからやってしまっていると思います。
このようない言い方をして「こんなこともわからないのかよ~」って思っている人は、相手ではなくまず自分の伝え方を疑ってください。多くの人が無意識の間にやってしまっているので、意識をして話さないとなかなかなおりません。相手は何も知らないんだと思い、相手に初めて話をする気持ちで話をしましょう。
感覚が違う
人によって、その状況によって抽象的な言葉の感覚は大きく異なります。
日本語は日本人にとっての共通の言語ですが、自分の考えや想いの全てをそのまま共有できる言語ではありません。同じ日本語でも抽象的な言葉では自分の感覚を伝えることはとても難しいのです。
しかし、数字は日本以外でも世界のほとんどで同じ使われ方をしています。日本人の間でも日本語よりも数字を使った方が、物事を正確に伝えやすいです。
できるだけ感覚によって度合いが変わるような抽象的な言葉を避け、具体的な言葉もしくは数字を用いて伝えるようにしましょう。
目的が違う
話す話題が合っていても、目的、ゴールが違えば相手に話は伝わりません。
優先順位:顧客満足度>利益
優先順位:利益>顧客満足度
お互いがこのように思っていたとしましょう。目的が違う場合、顧客満足度を上げるために提案したとしても、相手の望みは利益を上げることなので、求めている内容が異なっているため、どれだけ一生懸命話しても納得が得られません。そうすると、議論をどれだけ重ねても、一向に話は前に進まないのです。相手にわかりやすいように話を準備することも大切ですが、目的の統一から始めましょう。
判断基準が違う(価値観も含む)
判断基準:お金
判断基準:時間
目的が同じでも判断基準が違う場合は話が上手く伝わりません。判断基準が違うことでお金を取れば、時間が取れず、時間をとれば、お金が取れないということが起きるからです。
顧客満足度を上げようと二人は同じ目的に向かって頑張っているのになんか悲しいですよね。
これらのことは上司と部下、先輩と後輩など立場が違えば違うほど話が伝わらないというのは起きやすいです。「話題」「感覚」「目的」「判断基準」の全てにおいて、立場が変わることでさらに乖離が起きるためです。いろんなところでミスコミュニケーションが起きている理由ですね。
【まとめ】
- 自分の伝える力を過信しない。
- 人は自分に都合のいいように話を理解する。
- 相手の状況を確認する。
これらのことを念頭に置いて相手に話をしていきましょう。相手に話を伝える上で相手との距離は大切なことの一つです。好きな先輩の話と嫌いな先輩の話とどちらを信じますか?相手との距離が縮まればさらに伝える力は上がります。話し方や考え方を磨くだけではなく、相手と信頼関係を築くことも意識してください。
↓↓↓相手との距離を縮めるための記事です。参考にしてみてください